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院長あいさつ

独立行政法人国立病院機構 高松医療センター 院長 市原典子
高松医療センター 院長 市原典子

4月より細川院長の後任で高松医療センターの院長に就任いたしました 市原 典子 と申します。謹んで皆様にご挨拶をさせていただきます。
私は1991年に香川医科大学(現 香川大学医学部)を卒業し、卒後3年目の1993年から当院に勤め、まもなく30年が経過します。当時の病院名は「国立療養所高松病院」で結核医療と脳血管障害のリハビリテーションが中心で、50床の神経病棟には脳血管障害後遺症の方や重度のパーキンソン病患者さんがおられました。当時の院長は神経内科が専門で、その後の約10年間で筋萎縮性側索硬化症を中心とした神経難病患者さんの入院がほぼ100名にまで増え、2004年には独立行政法人化すると同時に香川県難病医療ネットワークの拠点病院となりました。私は神経内科に所属しておりましたので、その間、神経難病の診療をおこないつつ嚥下障害の評価・治療や呼吸管理、栄養管理をテーマとした臨床研究もおこないました。

その後、院長の交代に伴い病院の運営方針が見直され、循環器を中心とした一般医療に重きを置き救急も積極的に受け入れるようになりました。その間も神経難病・結核等のセーフティーネット医療は継続して行い、急性期医療とセーフティーネット医療の2本立てという非常に特異な体制を取っておりましたが、2010年頃より徐々に急性期医療を担う医師が減少し、再び診療体制の見直しの必要性に迫られることとなりました。

2013年に前任の細川院長に交代となり、私は同年診療部長を拝命しました。その後の約10年間は急性期部門の機能を転換し、セーフティーネットおよび回復期に主力を置きながら地域を支える病院へ転換すべく、長い苦難の道を職員一丸となって歩んでまいりました。その結果当院は4個病棟全てが障害者病棟(入院患者の7割以上が神経筋難病の患者さん、あるいは脳卒中や認知症を原因としない身体障害1・2級相当の肢体不自由の患者さん)となり、内2個病棟では重度の身体障害を持ちかつ高度な医療的ケアが必要な患者を対象に、高度な医療と介護の両者を提供できる「療養介護事業」を展開しております。この特殊な機能を有する4つの病棟を効率よく運用して、治療後の回復に時間を要する高齢者や障がい者の退院支援はもちろんのこと、介護者を支えるためのレスパイト入院や医療型短期入所、安心・安楽な在宅療養の維持をサポートする在宅サポート入院もおこなっています。また、回復期のリハビリテーションだけでなく、年齢や障がいの程度に合わせた慢性期機能維持のためのリハビリテーション入院も可能です。長期入院では、慢性疾患の進行期の患者さんや癌患者さんの苦痛を緩和しQOLの維持・向上に配慮したケアを提供します。また療養介護病棟では、医療レベルを下げることなく介護も合わせて提供できることで、より質の高い療養環境を提供しております。多数の公的総合病院に取り囲まれた周辺環境、地域医療構想、社会情勢の変化を踏まえれば、当院の機能の特殊性にさらに磨きをかけることで、地域に貢献しつつ持続可能な病院であり続けることができると考えており、今後もこの方針を変えることなく継続していく所存です。

院長としてこれから勉強しなければならないことは山積みですが、30年間当院と共に走り続けてきたからこそできることもあるかもしれません。推薦していただいた前院長や応援していただいている方々の言葉を信じて精一杯努めたいと思いますので、皆さま、なにとぞよろしくお願い申し上げます。