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神経内科

担当医師

氏名 専門分野 所属学会・資格等
院長
市原典子
神経難病、神経難病における残存機能の活用、嚥下・呼吸・栄養管理 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会認定士
医長
渋田佳子
神経難病 内科認定医/総合内科専門医/神経内科専門医・指導医/産業医
診療部長
國土曜平
神経内科一般 日本神経学会専門医/日本内科学会認定内科医
医師
榊原奈津子
神経内科一般
非常勤
藤井正吾
神経難病 日本神経学会専門医/日本内科学会認定内科医/日本神経学会指導医/麻酔科標榜医/麻酔指導医

当科の紹介

当院は、香川県の難病相談支援ネットワークにおける神経筋疾患の分野別拠点病院で、当科では筋萎縮性側索硬化症(ALS)をはじめとしてパーキンソン病(PD)関連疾患・多系統萎縮症(MSA)・脊髄小脳変性症(SCD)などの神経難病を中心とした診療を行っております。
外来診療は、神経難病の薬物治療と合併症管理を中心におこなっております。神経筋難病の合併症として予後を左右する嚥下障害(飲み込みの障害)に関しては、嚥下造影検査をもちいた評価から専門的訓練、嚥下食提供・栄養指導、大学との連携による手術療法、術後リハビリまでのトータルケアーを行っております。総合的評価および治療方針の決定は日本摂食・嚥下リハビリテーション学会認定士2名を含む摂食嚥下チームで行っております。また、嚥下造影検査については疾患を限定せずに他施設からの検査依頼を受け付けております。ご紹介いただければ検査の結果をお返しするだけでなく、必要に応じて患者さん・ご家族・入所施設職員などの在宅医療関係者への安全な食形態や体位、また在宅でできるリハビリテーション指導等もおこなっています。
入院診療については常に100名前後の患者さんが入院されており、その内訳は、ALSを主体とした運動神経疾患の患者さんが約45%ともっとも多く、PD関連疾患の患者さんが約15%、MSAの患者さんが約15%、その他SCD、筋ジストロフィー等です。入院患者さんの約60%が人工呼吸器を装着されており、人工呼吸器装着など高度な医療的ケアが必要かつ重度の身体障害をお持ちの患者さんの長期療養については、医療と介護の両方を提供することが可能な療養介護病棟(40床×2個病棟)に入院していただいております。人工呼吸管理については、24時間人工呼吸器を装着していても週2回の入浴が可能で、構音機能が保たれていれば発声し、嚥下機能が保たれていれば食事も食べるなど、QOLや残存機能の最大活用を重視した管理を心がけています。難病患者さんの睡眠時無呼吸検査・治療入院、鼻マスク式人工呼吸導入・指導入院、在宅人工呼吸療養指導入院、リハビリテーション入院、レスパイト入院(介護者の休息のための入院)もお引き受けしています。

主な治療疾患について

筋萎縮性側索硬化症(ALS)

ALSは、運動神経が変性することにより徐々に全身の筋萎縮と筋力低下が進行する病気で、治療薬は進行のスピードを若干遅らせるもののみのため対症療法が主となります。初発部位や進行のスピードに個人差がありますが、最終的には寝たきりの状態となり、経管栄養や気管切開による人工呼吸をおこなわなければ平均約3.5年で死に至ります。逆にそれさえおこなえば療養は長期に渡ることが多く、合併症にどう対処し生活の質(QOL)を維持していくかが重要となります。 ALSでは、病状評価や治療のみにとどまらず、患者さんご自身が後悔のない治療方針を決定できるよう、多職種インフォームドコンセント(IC)を行っております。多職種ICには各分野の専門家が同席し、患者さんが疾患を正しく理解し自身をとりまく療養環境を考慮した上で治療法が選択できるよう、チームでサポートします。また患者さんはALS専用の事前指示書(私の希望書)を用いて今後の治療方針についての希望を医療者に示すことができます。関係者が患者さんの治療方針について共通の理解を持てるというメリットもあります。大学病院など他院からご紹介いただいた患者さんについても療養介護病棟の見学や多職種ICをお引き受けしています。ICは時に1時間を超えることもありますが、神経筋疾患の分野別拠点病院としての重要な役割と考えております。 また、人工呼吸を希望しない患者さんに対しては、緩和ケア入院も行っております。

パーキンソン病(PD)

PDは人口10万人あたり100〜150人に見られる比較的多い神経難病で、男女同数で50〜60歳代に発症することが多く、手足が振るえる、筋肉が緊張する、動きが遅いなどの症状が進行します。抗パーキンソン病薬がよく効くのが特徴です。 パーキンソン病(PD)の薬物治療では、患者さんの現在の病状を客観的かつ総合的に判断することが非常に重要ですが、短時間の外来診療において医師のみでそれを行うことは困難です。患者さんご自身やご家族に教えていただくご家庭での状態や、リハビリテーション部門のスタッフからの訓練評価、訪問看護師さんからの在宅での状況報告等を参考に治療を進めております。そういう意味では、患者さん自身も医師も、より良い治療を行うためのチームの一員と言えるでしょう。
パーキンソン病に特化した4週間の専門的リハビリテーション入院(ブラッシュアップ入院)も行っております。

多系統萎縮症(MSA)

MSAにはパーキンソン症状を主症状とするタイプ(MSA-P)、小脳症状を主症状とするタイプ(MSA-C)がありいずれも排尿・排便障害や血圧の変動などの自律神経症状を伴うことが特徴です。嚥下障害、睡眠時無呼吸や声帯機能不全による呼吸障害、著明な自律神経障害など命に関わる合併症も多く、タイプや病期によって様々な症状を呈し、患者さんが疾患を理解し治療方針を選択するのが困難な場合も少なくありません。 当院では、MSA患者さんの在宅療養をサポートする目的で、2-3週間の入院により現在の病状評価をおこない、その評価結果に基づき、患者さん・ご家族の疾患や現状の理解および今後の治療方針についての意思決定を援助します。必要性やご希望に応じて、鼻マスク式人工呼吸導入・指導または調整、リハビリテーション指導、行政や地域と連携した在宅環境整備、人生会議なども行っておりますのでご相談ください。

人生会議

人生会議とは将来の医療・ケアについての本人の意思決定を支援する目的で、本人を主体にその家族等及び医療・ケアチームが参加して行う話し合いで、リビングウィルの作成も可能です。

情報発信

当院では、香川県の難病医療支援ネットワークにおける神経筋難病の分野別拠点病院として、県の委託を受けて難病研修を行っております。例年、香川県内の神経難病患者さんに関わる多職種を対象に、難病病棟での見学実習、研修棟での難病研修会、シンポジウムや講演会の開催などを企画しておりましたが、コロナ禍においては、研修用動画を作成し、関連施設に配布しております。
今後も香川県における難病医療の発展および患者さんの療養環境の改善に貢献できるよう努めてまいります。